夏は炎天下の環境で作業をしなければならないケースも多いでしょう。また建物の中であっても、温度が非常に高くなっているケースも少なくありません。そのような状況で働き続けるのは難しいですし、最悪の場合はひどい熱中症などによって命を落とすことにもなりかねません。
猛暑となった夏は、空調が十分でない室内で倒れてしまう作業者が続出しています。そのような実情なども影響し、多方面から注目を集めているのがファンが搭載されている作業服です。
見かけたことがあるけれど、本当に効果を期待できるのか疑問に感じるケースもあるでしょう。仕組みやメリットを細かくチェックすることで安心しやすくなります。
小さなファンによって、作業服の内側に風を送り込む構造になっているのは一目瞭然です。ただし、その効果を正しく理解している人はそれほど多くありません。分かりにくければ、スポーツをした後に扇風機の前に立った状態をイメージしてください。
涼しく感じるのは、風そのものが冷たいというよりも汗が気化しているためです。そもそも汗には高くなった体温を下げるという働きがあります。液体の汗が気化する際に体温を奪っていくのです。脳が暑さを感知すると、体温を冷やせる分だけ分泌するようになっています。
スポーツの後の扇風機は、空気の流れを活発にすることでその働きを促進するというわけです。簡単にいうと扇風機を利用できない状況で、それを行える環境を作り出すのがこの作業服の役割です。
一般的な仕様の作業服を着ていると、内部の湿度が高くなってしまうので、汗はなかなか気化してくれません。空気の移動が生じない状況では、どれだけ水分補給をしても無意味な汗として流れてしまいます。すなわち本来の働きができないため、体温は高い状態で保たれ続けてしまうということです。
脳は暑さを感知し続けるので汗は出続ける一方となり、最終的には脱水症状に陥ることも多いです。内部にファンで空気を送り込めば、そのような危険性を回避しやすくなります。もちろん空気をただ送るだけでなく、排出する仕組みも考えられています。
体と服の間のスペースを通っていき、袖などから排出されるまでの間に多くの熱を奪っていく仕組みです。汗が次々と気化していくので、それによって涼しさを実感しながら作業できます。別の言い方をすると、無意味な汗に本来の働きをさせるためのグッズということです。
これにより継続して作業を行いやすくなるメリットがあります。もちろん夏は小まめに休憩を取ることが大切ですが、暑さの影響で過度に取らざるを得ない状態には追い込まれません。手を止める回数を減らせるので、作業を早く終わらせたい事情がある場合は大きな効果を期待できます。
また簡易なエアコンや扇風機などを持ち込んで作業をする場合と比べると、ずいぶんとコストパフォーマンスが高いという点もメリットです。そのような空調機器の購入費や運用費、持ち込みにかかる運搬費などが不要になります。
それらを使用する場合でも、この作業服を併用することでさらに効果を高められるでしょう。これだけのメリットがあると知っていても、導入に踏み切れない作業者や経営者も多くいます。その原因として、作業のスムーズさに支障が出てしまうという懸念が挙げられます。
手足を大きく動かす作業において、服によって動作が制限されることは多くの面でいろいろなマイナスとなります。力が入れにくくなったり効率が落ちたりしますし、場合によっては安全性が損なわれることにもなるでしょう。
しかしファンがあるからといって、必ずしも動きにくくなるわけではありません。素人が無理やり取り付けたものではなく、作業することを念頭に置いてプロが設計したものだからです。基本的には腕を上げ下げしたり、何かにもたれかかった際に邪魔になるような位置には付いていません。
したがって気温の快適性以外においては、一般的な仕様のものを着ているのと大きく変わらないです。また小さいとはいえ電気機器が付いているので、電力供給のために不便が生じることも懸念されやすいです。しかしコードによって絡まるような設計にはなっていませんし、バッテリーも収納しやすいように工夫されています。
夏は特に汚れやすいので、洗濯ができるのかを心配する人も見受けられます。商品によって異なりますがファンを簡単に外せるものを選べば、洗濯の手間が大きく増えることはありません。このように多くのメリットがあるため、仕事で作業をする人以外の間でもニーズが高まっています。
たとえば夏にキャンプやゴルフなどをする人にも使われるようになりました。ガーデニングやペットの散歩のような家庭における使用例もあります。女性が着ていても、不自然には見えないタイプも存在します。さまざまなデザインのものが販売されているので、利用したいシチュエーションに合ったものを選ぶと良いでしょう。